==設定==
シンジがドイツに留学? ステイ先が独(今回は√表示のがいいのかな)。
シェアで暮らしているという感じ? そう言うのあるのかな。ドイツの事情はわからん。
シンジは高校生くらいのつもり。
時系列滅茶苦茶の継ぎ接ぎ少女漫画もどき。
ドイツ語話してんの? とかいろんな事をスルーで。

喉が渇いて目が覚める。確かサイドテーブルにペットボトルを置いていたなと思って体を起こす。重い。力が入らない。手を伸ばすのでさえ億劫だ。視界が少しぼやけて見えるのは寝ぼけているからだろうか。
ずるっと何か肌の上をずり落ちて行く。腕。太いそれは筋肉で重い。
手を伸ばしてボトルに指が触れたと思った時。ぐい、と体を引かれる。

「あ」

ボトルはつかめず、そのまますっぽりと抱き込まれる。背中が大きな胸につく。
お腹に回された腕がゆるく、でもぎゅっと力を入れてくる。

「あの」
「まだ、時間はあるだろう・・・」
「水が」

返事がない。

「喉が渇いたから、
 あの」

腕は緩まない。諦めるか。小さくタメイキを落とす。

「ン」

首すじを吸われて肩がすくむ。

「起きてるなら腕離して、」

返事はない。寝ぼけてる?

本当に。普段はバカがつくほど生真面目で堅物なのに、この変わり様はどうだろう。
・・・こんな風に求められることは、嫌じゃない、けど。

夏はまだ遠く、こうして肌を合わせていても熱いとは思わない。どちらかと言えば心地良い。
瞼が落ちる。疲労は取れていない。取れるわけがない。
もう少し寝たら回復するかな・・・。
思考は細く消えた。


「その、す、好きなんだ」

自分と比べれば巨体と言って良いくらいの大きな体を小さくして、白い肌を真っ赤にして。いつもの歯切れの良い口調は欠片もなく、ぼそぼそとやっとという感じで。
絞り出されたそれに、つられるように自分の頬も赤くなっていくのがわかる。

文化の違い、年齢、性別。問題は色々あるだろうに。
嬉しい、と思う。素直に。

嬉しい。

ただ、自分はどういう意味で嬉しいのかな、とちょっとだけ考えてしまう。
誰でも良くて、たまたま彼がこうして告白してくれただけで、これが他の誰であっても自分はきっと嬉しいんだろうな、と思う気持ちが浮かぶ。
でも、それだけじゃない気も、している。

自分の中でぐちゃぐちゃと考えてしまって、返事が出来ない。

「やはり、迷惑だろうか」

とても申し訳なさそうに言われて反射的に首を振る。でも言葉が出てこない。

「無理はしなくてもいいんだぞ。ちゃんと言ってくれた方が」

それにも首を振る。考えての行動ではなかった。
何かを言わなければ、否定ではない何かを。その気持ちが首を振らせるけれど、喉からは上がってこなくて。
両手でシャツをつかむ。しわになるけど、握りしめるようにしてその胸に額をつけた。

彼は、不器用な所は少し僕にも似ているかもしれないけれどやっぱり西洋の人で、思っていても言わない・言えないなんてことはたぶん、ないんだろう。だからわかって貰えないかもしれないけれど。否定じゃないって、嬉しいってことはわかって欲しくて。
目はつむっていたし、どんな顔をしていたかなんてわからないけれど、暫くして、そうっと両腕が背中に回る。
僕は彼に比べたら小さくて、子供みたいにすっぽり収まってしまうから、くるまれて居るみたいな気持ちになる。

握りしめていた手をゆっくりと彼の背中にまわす。彼の腕は回りきって余るのに、僕の腕では途中までしか届かない。
ゆるくシャツを握って。

彼は体を離して頬に手を当てると頬、こめかみ、瞼、眉間とあちこちにキスをくれ、最後にそっと唇を合わせた。そうしてもう一度抱き込むと耳元で「愛してる」と囁く。

僕も。

返事のように頭に浮かび、ああそうか、と思う。
けれどやっぱり言葉にはできなかった。


「そりゃ恋だろう」

兄の言葉に少し目をむく。久しぶりに再会して行きつけの店でビールを空けている。あいつはどうにもアルコールが駄目なようで、すぐにつぶれるから誘えなかった。
で、恋? 何が?

「気になって気になって仕方なくて、顔を見るとドキドキするんだろう?」

そんな言い方をしただろうか。確かに妙に胸が苦しくはなるが、動悸、といえば動悸かと思うくらいで、ドキドキって、え? これはそういうドキドキだったのか?

「しかし、相手はそういう対象になりそうではないんだが」
「あん? 何? デブ専? ロリ? そいういう趣味だったのかお前」
「え、いや、年下、は年下だが」
「ま、いいんじゃね。気持ちは相手を選ばないからな」
「いい、のか?」
「だってどうにもできないんだろう? 成就するかは別として気持ちは気持ちだろうよ」

そういうものだろうか。人の気持ちという奴は難しくてわからない。自分の気持ちくらいは把握できると思っていたが、この兄に指摘されなければわからないようでは。
そうか恋か。
明確な言葉、形が与えられてしまえばそれはもうするりと心の中に収まってしまった。

「お前がねー。ま、応援はしてやるよ」

詳細は聞かずにとりあえずそんなことを言うところは相変わらずの兄だった。

「帰ったぞ」
「お帰りなさい。ご飯できてますよ」

そういって奥へ向かう背中を見ながら、こいつに恋ねぇと改めて思う。
恋。

「すぐ食べます?」

振り返って問うその顔を見て"かわいいなぁ"と思ったのと"恋ぃぃ?!"と血が沸騰したのはあまり時差がなかった。
顔が熱いやばい。手で顔を覆いうつむく。
恋。
そうか俺はこいつが好きなのか。
頭の中で言葉が巡る。それとは別の回路で体が暴走を始める。心臓はばくばくいうし汗は出るし。体温は一気に倍になったみたいに感じられる。

「顔、赤いみたいですけど、大丈夫?」

側に来てのぞき込むようにする。
う、今その顔は止めろ!
顔を背けて片手で制しながら

「だ、大丈夫だ。何でもない。食事だろう? 早く食べよう」
「そう?」

まだ気にする素振りを残しながらもキッチンに向かう。視界から消えてはぁと大息をつく。大丈夫なんだろうか自分。顔を見るだけでこれでは。

一度意識してしまうともう頭から離れなかった。
"俺はこいつが好き"
頭をぐるぐるするそれが行動を邪魔する。どうにもこうにも不審な動きにしかならない。心配そうな顔をさせてしまうのを申し訳なく思いながらもその顔にさえ動悸を起こすのだ。
ダメだこれは。早く寝よう。
挨拶もそこそこに早々に寝室に引き上げる。
こんなことで明日から大丈夫なんだろうか。


話していたことは全然別のことで、そのせりふが出るまでは自分も考えていなかった。

「貴方は思いこむタイプですから心配です」

言われてハッとする。確かにそうかもしれない。答えに納得出来てしまえばそれが絶対だ。だから気にしたことはなかったけれど、もしかしたらこの感情もそうなんだろうか。
"恋だよ"
言われて納得してしまったからそうだと思っていたが。本当は違う感情をそう取り違えているだけなのか? 考えてもわからない。

「あー、お前に聞くのもどうかと思うが」

類は友を呼ぶというが、こいつも不器用というか少し自分と似ている。だからたぶんこういうことを聞くには向いていないだろう。だが読書家でもあるし、何かヒントになることくらいは知っているかもしれなかった。

「自分の感情が恋愛感情かを調べるにはどうしたらいい?」
「・・・貴方好きな人がいるんですか」
「いや、わからない、んだ。兄貴には恋だと言われたんだが。俺は思い込むタイプなんだろう?」

小さく息を吐いて「そうですね」と同意される。

「以前にネットでそういう相談を読んだことがあります。自覚が出るまで放置する、というのもありましたが」

放置、ねぇ。

「私がなるほどと思ったのは、相手が他の人と付き合ってる状況を想像してみる、というものでしたね」
「ほう」

他の人と付き合ってる状況、ね。そういえば仲の良いクラスメイトがいると言っているな。いつも嬉しそうに話をしているし、かなり憧れているようだが。
・・・年齢的には近いし自分よりは問題は少ないだろう、な。

"恋人ができたんです"

「・・・なんとなく腹が立つんだが」
「では恋なんでしょう」
「簡単に言うな」
「正直、貴方の場合それが恋だとわかったからといって簡単に進展するとも思えません。どうせこの先もぐだぐだと悩むのなら"恋かどうか"というところ位さっさと終わらせた方がいいでしょう」

納得できてしまうのが悔しかった。
しかしお前だってあれだけ露骨に感情をぶつけられても何もできてないだろうが。

自分もたぶん同じなんだろうなと息を吐いた。


やり方は事前に調べていたし、脳内でのシミュレーションも済んでいる。実際は多少勝手が違うだろうが大丈夫だろうと思っていた。
しかし。
忘れていたのだ、体格差、というものを。
参考にした情報では体格的に差はあまりなかった。
だが、こいつは小さかった。
本当に小さい。子供、とは言えないがそれでも自分の知る女性よりもたぶん小さいはずだ。
スイッチは入ってしまっていたから止まりはしなかったが、それでも"大丈夫なのか?"と思う。

小さな抵抗はあったが、拒否ではない、と思えた。途中からはもうその漏れる声や表情、肌の感触や温もりに溺れていた。
冷静さをかろうじて残した意識で慣らす。この体格差で無理をすれば怪我をさせてしまう。じれる自分を一生懸命抑えてがんばったが、理性は白旗を揚げた。
十分かどうかなんてわからない。でもこれ以上は無理だ。我慢できない。

「入れるぞ」

言い訳のように口にして様子も見ずにあてがう。指をつかって広げながらゆっくりと先を食い込ませた。

「あ、いった、あぁっ!」

のけぞり上がった声に見ると、呼吸は小さく顔には脂汗が浮いていた。やはり無理かと思うけれど体は止まらない。入れたい、押し込みたい気持ちを堪える。

「力を抜いて。息をするんだ」

ぼやけた目でこちらを見る。聞こえてはいるようだし、言うとおりにしようという意志はあるようだった。けれどついて行けないのだろう体が小さく痙攣する。
そんな小さな振動にさえ体は炙られて、そこは狭くて熱くてもう自分が下半身だけになったような錯覚を起こす。

「すまない」

片手で口をふさぐ。

「ンン!」

それでなくても呼吸は足りていないはずだから苦しいだろう。両手で外しにかかるが力はほとんど感じられなかった。少し無理をさせて手を離す。
大きく息を吸い肩で呼吸をする。それにタイミングを合わせて押し込んだ。
目尻から涙が零れるのを見る。それは申し訳ないというよりも嗜虐的な気持ちを呼び起こす。
かがみこんで舌で雫を掬い、そのまま片腕で頭を抱えるように固定した。残りの腕で足を持ち上げる。背中を押し付け開いていく。

口を割る声は喘ぎなどという色っぽいものではなかった。それでもじりじりと押し込みなんとか全てを納める。くそ、気持ちいいな。
動いてぐちゃぐちゃにして味わいつくしたい衝動。
でも、荒く速い呼吸をして、目は開いているけれどそれだけで、触れてもぴくりと小さく反応するだけでもういっぱいいっぱいなのは瞭然だった。
抽送は諦めて少し体を揺すってみる。
声にならない声。ゆるく振られる首。
痛みだけではないことをその中に探しながら萎えたものに手を伸ばし肌に吸い付いた。

お話へ

・・・カヲルが不憫でもいい人向けおまけ

シンジ君が顔を真っ赤にして、言いよどんで言いよどんで、小さく聞いてきた。
「フェラチオって、どうやってやるの」
かわいいな〜と思って見ていたから、その言葉を理解するのに時間がかかった。
言葉を理解してから、その意味するところを理解するまでにはもっと時間がかかった。
シンジ君は男で、普通は"される"方で、"どうやってやるの"ってことはシンジ君がするって事で、ってことはえーっと〜???

思考停止。

「ごめん。こんなことカヲル君に聞くことじゃないよね」
林檎みたいに真っ赤な顔してシンジ君は体を翻す。走り去ろうとするその手をかろうじて捕まえる。
「ま、待って。ごめん。びっくりしただけだから」
捕まえたのはいいけど、どうすればいいんだ? えーっと・・・
「最近恋人できたのかなって思ってはいたけど・・・もしかして相手、男なの」
目に涙を溜めて真っ赤な顔のまま小さくうなずくとそのまま視線は下を向いてしまった。
僕はといえば"なんだってー!"と心中で叫んでいた。
シンジ君男いけたの? 僕だってずっとシンジ君好きで狙って、えぇ?! 諦めずにアタックしておけば今頃ラブラブできたってこと?!
「そ、そ、そう、なん、だ・・・」
口調が沈んだのはシンジ君を知らない奴に取られたせいだったけど、シンジ君は違う風に捕らえたみたいで
「あの! カヲル君はそういうの駄目かもしれないけど、すごくいい人で!  ・・・やっぱり、気持ち悪い?」
「そんなことないよ」
駄目どころか僕もそういう目で見てたんだってことは、知られない方がいい、んだろうな・・・。
「で、なんでいきなりそんな相談」
シンジ君のことだから悩んで悩んでやっとこさのことだとは思うんだけど、とつい聞いてしまったけれど、止めておけばよかった・・・orz。

どうも相手の人がすごくそっち方面に強くて自分はへとへとになるから、少しでも負担を減らしたいって事のようだった。
「嫌じゃないんだよ? すごく気持ちよくしてくれるし、僕なんかをそんなに求めてくれるなんて嬉しいし。でもやっぱり大変でさ。その、アレもおっきいし、結構辛くて。口で、って思うんだけど、大きすぎて入らないし、どうしたらいいのかなって」
好きなコからそんなことを聞かされるのってどんな拷問?!
ダメージ∞でそれ以上は耐えられそうになかった。
「ごめん。僕もすぐに答えられるほどそういうの詳しくないから。ちょっと、時間・・・くれるかな・・・」
「え、あ。ごめん、変なこと聞いちゃって」
それから極上の笑顔で
「でもありがとう」
って、泣かないだけでも褒めて欲しい、誰か。
「カヲル君が友達でよかった〜」
最後の一撃。
神様、これはないよ・・・。

2009-06-19 up