今日は超音波検査の実習で居残りを言い渡された。
臨床生理学の加持先生はそんなに厳しくもないし、どちらかといえばいいかげんなんだけど、 さすがにまともに腎臓が出せないのは僕だけだったから仕方が無い。
カヲル君は付き合いで残ってくれた。こればっかりは練習台になってくれる人がいる。
実習室でこうじゃない、ああじゃないとプローブを当てていると加持先生が顔を出す。

「どうだ?脾臓と腎臓、出たか?」
「たぶん、これだと思うんですけど・・・」

そう言ってカヲル君の左脇にプローブを当ててみる。

「残念ながらそれは腸だな。腎臓はこれだ」

そう言って加持先生は簡単に教科書通りの像を出す。先生は教えてるんだしこんなでも一応医者なんだから当然といえば当然だ。
でも僕だって一応それを仕事にしようって立場なんだからもう少し何とかならないかと思うんだけど、散々苦労してこれかと思うとこの先やっていけるのか自信がなくなる。

「まあ、こんなのは実際に仕事に就いていくつも数をこなせば簡単だから、 今は大体の位置やどんな風に見えるのかがわかればいい。ついでに膵臓、出せたか?」
「だめです、全然」
「低すぎだな。そんな下にはないぞ。もっとこの辺」

ぐいって加持先生は肋骨の下で簡単に膵臓を出す。こうして見てると本当に簡単そうなのに、ひとりでやると全然駄目だ。

「渚は細いから見やすいな。練習台には持ってこいだ。俺はこのあと病院でやらなきゃならんことがあるんで行くが、もうしばらく練習してていいぞ。助手の先生は帰っちまったから、電源とかの後始末だけしといてくれればいい。
他にもいろんな臓器があるし、あちこち当ててみて遊んでみろや。そのプローブだったら腹腔内は大体見える。じゃあな」

そう言って行ってしまった。
その後一生懸命に先生が当ててた場所を探ってみるのけど、やっぱりあんなきれいな像は出せない。
確かにカヲル君は細いし余計な脂肪なんてついてないから、エコーの画像もとても綺麗だと思う。思うけどそれとこっちが出したい画像かどうかは別で。
肝臓くらいだったら大きいから、プローブを当てればほとんどどこからでも見えるような状態なのに、それ以外になるともうまったくダメで。

「だぁめだ。出せないよ」
「仕方ないよ。僕だってそんなにきれいには出せなかったよ?」
「でも葛城先生には誉められてたじゃない。僕、技師になっても生理だけはやんない」
「そうも言ってられないよ。ローテーションだってあるんだし。
ちょっとシンジ君、寝てみてよ。自分の体のどの辺にあるかわかったら、人のも楽だろう?」

そうして僕らは入れ替わってカヲル君が僕にプローブを当てる。

「腎臓は、たぶんこれだから・・・大体この辺。肋骨の間だし、わかりやすいと思うけど」
「うん、ねえ膵臓は?」
「出るかな? ・・・・・・これ、だと思うけど」
「その辺りなの?」
「自信無いけどね。どう思う?」

そう言ってモニターを僕に向けた。下から見上げる形だと見にくいんだけど、 なんかそれっぽい感じの画像に見える。

「それ脾静脈じゃない? だったらこれだよね。このあたりか・・・」

そういっておなかをさわったら手にゼリーがべったりとついてしまった。

「このゼリー、気持ちわるいね」
「でもこれしないと見えないし」

そういうとカヲル君はなんだか変な風に笑って、僕の耳元に口を寄せると囁いた。

「前立腺見てみようよ」
「ええ?!」

起き上がる間もなく、カヲル君は僕のズボンに手をかけると下着ごと下ろしてしまう。ジーンズを履いて来なかったことを後悔したけど遅い。
押しのけようとする僕の手を片手で流して下腹のあたりにプローブを押し付けてくる。ゼリーが冷やりとして、足をばたつかせるけどカヲル君は全然平気な顔でモニターを見てる。

「ちょ、ちょっとカヲル君、待ってよ」
「ほら、これじゃない?」

そう言ってモニターを指差す。
そこには丸みを帯びた黒い部分があって、その下に白っぽい丸いものが見えていた。
解剖を思い出そうとしてみるけど立体変換できなくて、位置としては間違ってないと思うけど、超音波画像としては習ってないからわからない。

「そうかもしれないけどわかんないよ」
「だったら確認しよう」

そういうとカヲル君は僕のおなかについていたゼリーを掬い取るようにすると、そのまま強引にその手を僕の足の間に伸ばした。
うわぁ! と思って一生懸命足を閉じて体を捻って抵抗するんだけど、どうしてだか上手く逃れられない。
カヲル君の手はそのまま僕のお尻のほうに伸びてぐいって中に入り込んできた。

「や、カヲル君、だめっ!」

ゼリーがついてるから抵抗はない。するっと入ってきた指が中で動く。
そこを探して動き回る指に体が反応する。
おなかからはプローブで押されて、中からは指で押されて、手足は変な風に力が入るものの抵抗らしい抵抗はもうできなかった。

「これだよね。ほら、押したら形が変るし、やっぱりこれだよ、前立腺」
「やっ・・・やめ、・・・う、うご、か・・・なぃ・・・・・・んんっ・・・・・・」

こんな所でと思う暇もあればこそ、もうモニターを見るなんて余裕は欠片もない。
そのうちにカヲル君はプローブを置いて本格的に僕を篭絡しはじめた。
ぬるぬるしたゼリーの感触がいつもと違って、気持ちいいんだか悪いんだかわからない。
最初から弱いところを攻められて僕は簡単に理性を飛ばす。

おなかも胸も、どこもかしこももうゼリーでぬるぬるで。結局そのままなし崩しに入れられてしまった上に、カヲル君は1回じゃ満足してくれなかった。
僕はもうへろへろでまともには歩けなくて、帰りはカヲル君に縋って、彼に送ってもらう羽目になった。

それからというものカヲル君は学校からゼリーをくすねてきて僕に使うようになった。
確かにうちにある食用油類とかよりはましなのかもしれないけど、とても意地悪だったカヲル君を思い出してしまって僕は嬉しくない。

その後のテストではなんとか腎臓も出すことができて、それは本当に辛うじてと言ったレベルだったけれど、加持先生にOKを貰えた。 膵臓はやっぱり出せなかったけれど、それは半分以上の生徒が出来なかったので、辛うじて僕は合格した。

カヲル君があとでこっそりと

「前立腺のテストだったら一発合格だったのにね」

って笑ったけれど、僕はとてもじゃないけど笑うことなんて出来なくて、真っ赤になって黙り込んでしまった。


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