お腹はいろんな臓器があるし、悪性のものなんかを見逃したら大変なことになるので、技師がするようになったのは最近といえば最近だ。超音波の検査でまず技師がメインでするようになったのは何と言っても心臓だった。基本的に動きの評価だしね。
大きな病院では、心臓は技師が、お腹は医師が、って分けてた所も多かったんじゃないかな。
今ではお腹のエコーは診療放射線技師にだって許されてて、それはそれでまあ色々なんだけれど、ドックとか検診とかだったら技師がしている病院っていうのは多くなってきてるのかな、と思う。でも超音波検査って言ったら心臓、ってくらい、まぁエコー領域ではできないとまずい、ような気がする。どうなんだろう。
さてここで問題。
心臓はどこにある?
そう胸。
なので、実習協力にクラスメイトの女子を当てにするのは厳しかった。こっそり個別に声をかけたらのってくれる子もいたのかもしれないけれど、実際そんな視線や冗談めかした声がなかったわけじゃないけれど、やっぱり難しい。それに僕は交渉手段としてであっても、シンジ君以外に色目を使う気は今はない。
運良く僕らのクラスは男子が2名だったのでお互いで実習可能だった。これで男子が1名とかだったらどうしているんだろう。先輩の学年は確か一人だったと思うので、今度聞いておこうと思う。
学校って言ったって公立だし、そんなにお金があるわけじゃない。いや世の中にはある学校だって存在するんだろうけど、うちは附属病院でももう使わなくなったようなお古で実習していた。
そして古いってことは壊れるってことで、台数もあるわけじゃない。
あとで病院実習に行って機種の差に愕然としたくらい、古いものを使っていた。
当然、画像は粗くて見にくい。実習で一人当たりにかかる時間は長くなる。それを全員が一通りやるとなると1日では済まない。他の実習と同時進行、グループでローテーションして実習したけれど、心エコーだけは皆超過ぎみだった。
そしてシンジ君が優しいから。というのは本当は違うんだけど、女子の実習を優先させたため、今実習室に残っているのは僕ら二人だった。
心エコーではプローブを当てる場所自体はそんなに広くない。胸の真ん中にある胸骨、そのちょっと左端にまずプローブを当てる。とりあえず心臓を出すだけなら、それだけで何か動いているものが見える。けれど「ちゃんと出す」となると話は別。微妙な角度を調節してそれをキープする。その為には数をこなすのが一番なのは間違いないと思う。
長軸出して、短軸出して、心尖出してとやっていく。
何度かそれを繰り返している内に、ふとプローブが胸の先に触れた。
「ン!」
・・・その声だけでスイッチが入る自分がなんだかもうケダモノじみていて嫌だなと思った。
でも入っちゃったスイッチを切る気はなくて、そのまましばらく時間を空けながら、ワザと何度かプローブで胸を刺激する。女性の場合は膨らみがあるから逆に先を刺激するのは難しいんだけど、男の胸なら簡単だ。
「カ、ヲル君、ワザとでしょ。止めてよ」
ばれたか。
でも止めないよ。
ぬるっとしたゼリーを手にして直接指で刺激する。
「あ、やめ」
滑りが良いからやりやすいな。これ、下にも使えるなぁって思いながら、左側を下に横になっていた体を仰向かせる。
そうして逆の胸には舌を。
「ん、や」
他の所には手を出さずに、胸だけを執拗に舐る。最近だいぶ慣れてきてくれたみたいで、胸でも気持よくなってくれてる。最初はすごく嫌がってたし、気持いいよりはどうもこそばゆいみたいで、触られること自体を嫌がっていたのに。嬉しいな。
どのくらいそうしていただろう。声がなんだか泣き声になってきたなって思う。足ももう我慢できないみたいにさっきから動いている。
うーん、このままヤっちゃおうかな、なんて思ってたら。
「あぁ、んん!」
声がして手の下で体が震える。
えーっともしかして・・・?
「う、ううぇ・・・う、っく・・・」
今度はほんとに泣き声で、見るとシンジ君は子供みたいに泣いていた。
え? なんで。
「ごめんシンジ君、大丈夫? 痛かった?」
とりあえず謝って聞くけど首を振るばかりで。
何とか涙が収まってから聞いたら、胸だけでイかされたのが相当ショックだったらしい。
ごめん。
僕は全然気にしてないし、どっちかって言えば、まー嬉しい? って感じなんだけど。そんなこと言ったらもっと泣かれそうだったから言えなかった。
ついでに、僕自身はまったく満足もできなかったけれどそれ以上をねだるなんてできるわけがなくて、仕方がないので我慢してシンジ君を宥めて帰路につく。
今度チャンスがあったら、なんて考えちゃったのは、まあ仕方がないことだよね。