外からの月明かりでほの明るい室内で、ぼんやりと天井を見ていた。
毎日見ているのに、いつもとは違う光源のせいなのか、なんだか違う天井みたいだ、とシンジは思った。
ふい、と首を動かすと、うすい緑に光る文字盤が見える。
「・・・そっか・・・もう12時すぎちゃったんだ・・・」
別に何かを意図したわけではないけれど、言葉が口からこぼれる。
「それがどうかしたのかい?」
後ろから、声と一緒に腕が巻き付いてくる。
「え? 別に・・・何もないよ。時計が目に入ったら12時過ぎてて、そのまま口にしちゃっただけだよ」
すこし慌てたように、シンジはカヲルのほうに向き直る。
カヲルはもう本当に眠たそうにしていて、それはそれで珍しい表情なのでシンジはちょっと得をした気分になる。
「明日も、赤木博士のテストに何時間もつきあわないといけないんだから、早く寝たほうがいいよ、シンジ君」
腕の中にシンジを巻き込むようにするカヲルに、そんなことされると逆に寝られないよと思いながらもシンジは抵抗しない。
「うん、そうだね。おやすみ、カヲル君」
「おやすみ」
そういってとりあえず目を閉じる。
しばらくそのままおとなしくしていたら、カヲルの寝息が聞こえてきた。
カヲルの方がテストでの拘束時間が長く、何か難しいことも要求されているようなので、自分よりも疲れているのは当然なんだろうけど、こんな風に先に眠ってしまうカヲルを見るのは珍しいことだった。
もったいないなと思いつつもシンジはカヲルの腕からそっと抜け出る。
カヲルに起きる気配がないことに安心してシーツをかけなおすと、その寝顔を眺める。
「・・・今日は僕の誕生日なんだ・・・」
銀髪に手を伸ばして、でも躊躇して結局触れずに、シンジはそっとシーツに潜りこむ。
そして遠慮勝ちにカヲルの腕に手を伸ばし、ほんの少し触れている状態で、今度こそ本当に眠るつもりで目を閉じる。
その後、シンジが完全に眠ってしまった後でカヲルはぱちりと目を開けて、しばらくシンジを見つめていた。
それから少しだけ自分に向かって伸ばされている手を握る。
しばらくそうしていた後、そおっとその手に唇を寄せる。
そうして手は握ったまま、カヲルもまた眠りに落ちた。