「弱ったな。迷っちゃった」
シンジは父に頼まれて、森と丘を越えたところに住んでいる冬月おじさんのところへ行くところだった。しかし、近道しようとしたのが裏目に出て、今森の中で迷子になっている。
ふらふらと歩いていると、森が開けて畑が見えた。
「あ、こんな所に畑がある。誰かいないかな」
森の中にあるにしてはかなり大きい畑を見回すと、籠を持って何かをしている人が見えた。
「あのー、すみません。丘の向こうの冬月さんの家に行きたいんですけど、道を教えてもらえませんか?」
動かしていた手を休めてその人は、しばらくシンジを見ていたけれど、にっこりと笑うと
「いいよ。でも、その前によかったら種まきを手伝ってもらえないかな?」
と言った。シンジは
「道を教えてもらえるなら、喜んで」
と答えた。
その人はカヲルと名乗った。
二人はその広いは畑に種を蒔き続けた。シンジも畑仕事は父の手伝いでよくやってるので手際は悪くない。それでも蒔き終わる頃には日もずいぶん傾いていた。
「ありがとう。おかげで助かったよ」
「ううん、これくらい。それであの、道を」
「うん、でもおなかが空いただろう? シチューがあるんだけど一緒にどうかな」
「えっと、うん。おなかは空いてるけど・・・」
「ぜひ」
「じゃあお言葉に甘えて」
カヲルの作ったシチューは大変おいしくて、シンジは2杯お替わりしてしまった。
「あーおなかいっぱい。ごちそうさまです。それであの、道を教えて欲しいんだけど・・・」
シンジが言うと、カヲルはにっこりと笑って
「うんいいよ。でももう日が落ちるし、この先の森には狼もいる。泊まっていったらどうだい? 明日、出発したらいいよ」
と言った。
「でも、それじゃ・・・」
シンジは躊躇する。父に頼まれたことはそんなに急ぎはしないけれど、ゆっくりしていいというわけでもない。でも、種まきで疲れてはいる。どうしようか。
「僕は別に構わないよ。いつもは一人で寂しいから、誰かがいてくれると嬉しい」
「じゃ、一晩だけ」
カヲルの言葉にシンジは一泊させてもらうことにした。
体を拭いて汗を流して、少し話をしたら、すぐに外は真っ暗になってしまった。
疲れていたシンジはすぐにベッドに横になり眠ってしまう。
「おはよう。昨日はほんとにお世話になっっちゃって」
目覚めたシンジは、すでに起き出して朝食の準備をしているカヲルに言った。
「気にしなくていいよ。こっちこそ、久しぶりに楽しかった」
そうしてカヲルの作った食事を食べた。これもまた大変においしかった。
食事が終わるとシンジは聞いた。
「それであの、道を教えて欲しいんだけど」
「うん、でも昨日の疲れも溜まっているだろう? もうしばらくここで休んでいかないかい?」
カヲルに言われてシンジは首を振る。
「そういうわけには・・・。大事な用があるんだ」
でもカヲルはにっこりと笑ったままで言う。
「いいじゃないか。僕は君がとても気に入った。ずっと、ここにいるといい・・・」
そう言ってカヲルはシンジを押し倒し、口付けて服を脱がせて・・・・・・
「いずれ芽が出て実って、収穫する日が来る。そしたらまた一緒に刈り込みをしよう。そして来年になったら、また一緒に種を蒔けばいい。
道は、いずれ教えてあげるよ」
そう言ってカヲルはまたにっこりと笑った。