僕の誕生日を祝ってくれるというので、二人で僕の部屋にいた。
ケーキや料理はシンジ君が作ってくれた。
家で下拵えとかを済ませてしまって、ここで仕上げてくれたから、出来立ての温かいおいしい料理を食べる事ができた。
そして僕は、せっかくだからちょっとだけ、と用意していたワインを開けた。
シンジ君は「未成年なんだよ?!」なんてまじめな事を言ったけれど、僕の育ったドイツではほとんど水といった感じでビールを飲むし、ワインだって全く飲んだ事がない子供の方が少ないと思う。
そんな風に丸め込んで僕らは乾杯した。
シンジ君は「おいしい〜〜〜〜!!」といっておかわりをねだった。
まあ、正直それを狙っていたのだから、僕は調子に乗ってどんどん注ぐ。
僕もほろ酔い気分だったから、その時まで気付かなかったのだけれど、こてん、と頭を預けてきたシンジ君を見ると、もう首まで真っ赤になっていた。
やばい・・・かな・・・?
「シンジ君? 大丈夫?」
「だ〜〜〜〜〜いじょーーーーーーぶ!
だぁってこんなのじゅーすなんでしょぉ。すっごくおいしくていい気分〜〜」
出来上がっている、というのだろう。これは。
さてと、どうしたものだろう、と考え込んでいたら
「ねぇ、カヲルくん」
僕の肩に両手を乗せて見上げるように、つまり上目遣いでシンジ君が言った。
「キスしてよ」
「え?!」
こ、これは! ラッキーと思えばいいのか? でもそんなことしたらキスだけじゃ済まなくなりそう・・・
それにきっと覚えてないだろうしな、こういうのを期待してなかったわけじゃないけど、やっぱりまずいよね。
そんなことを考えながら、軽くほんの少しだけ触れるキスをした。
「さ、お酒さまさないと・・・」
「だぁめ! もっと!」
「え? もっとって・・・」
「もっとちゃんと!」
やばいんだよ〜〜〜〜〜と思いながらもしない理由はなくて、少し長めに唇を合わせた。
離れ際にちょっとだけ、舐めるようにして。
「これでいい?」
にっこりと表面だけは取り繕って聞いたけどシンジ君は変わらず不機嫌そうで。
いきなり、
ちゅううぅぅぅぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!
僕を引き寄せて唇を押し付けてきた。
びっくりしてパニックになりかけたけれど、シンジ君のキスは唇を重ねるだけのキスだった。
ただ押し付けて長く重ねているキスで、僕は逆に冷静になってしまった。
だから、シンジ君を抱き寄せると今度はこっちから仕掛ける。
唇を割り、舌を差し入れて歯の裏とか上顎とかを舐めて、舌を絡め取る。
「んんっ・・・・はっ・・・・・・・ん・・・・・・」
シンジ君の口から漏れる息が、鳴る喉が、僕の耳に入ってくる。
すごく気持ちよくて僕は離れられなくなる。
柔らかさと温かさと不思議な心地よさと。
どのくらいそうしてたのかよくわからないけれど、急にシンジ君の体がガクンと落ちて、僕らの口は離れた。
もっと・・・と思ってシンジ君を追いかけるようにかがみ込んだけれど、シンジ君は完全に沈没していた。
気絶、なのか、眠った、のか分からなかったけれど、疲れたみたいな顔でぐたりとなってしまったシンジ君を見たら、それ以上はどうこうする気にはなれなかった。
ふぅ。
ため息をひとつ吐いてシンジ君を抱き上げる。
ソファに寝かして髪を梳きながらじっくりと顔を見たら、当然だけれど口元はだ液でべとべとだった。
ティッシュで拭ってとりあえず綺麗にする。
きっと目が覚めてもな〜〜〜んにも覚えてないんだろうなぁ。
そう思うと自然とため息が続く。
でも、もしかしたらものすごくとんでもないプレゼントを貰ったんじゃないか?
と思うと顔が緩んでもくるのだった。
「今度はちゃんと目の覚めてるときにしようね」
そういってこめかみにちょっとだけ唇を当てて、僕は食器を片付けることにした。
これは、僕だけが覚えてるないしょの出来事。
今ではもうキスだけじゃなくて、他にもいろいろしているけれど、
この時のキスは、特別に甘い、長いキスだった。