普段はあんまり目もあわせないくせに、時々、本当にたまに、じっと僕を見ていることがある。
その視線が嫌だ。
見るだけでわかる。僕が好きだって言ってる。
ヤってる時の色ボケした、どこ見てるかもわからないような目で見られるのはすごく好きなのに、日常で不意に顔を上げて視線が合ったりしたら悪寒が走る。
たぶん僕は彼に何をしても許される。どんなにひどく抱いても、どれだけ貢がせても、口から出任せで適当な言葉を並べて見えないところまで傷つけても。この目だけで、それだけの代償を払って当然だと思う。
つぶしてやりたくなる。
なのに。そんなふうに思って離れる癖に。離れてると会いたくなる。会いたくなるんだけど。そんなときに思い出すのはあのじっと僕を見る目で。
自分が裂けるのがわかる。
気に入ってる。でも会いたくない。抱きたい。でも見られたくない。声を聞いて触れたい。でも、あの目で見られるのは嫌だ。
誰の顔もまともに覚えてないのに、あの目は忘れない。離れない。ちくしょう。何でなんだ。
「僕の大事な」
---見るな見るな。
「忘れたことなんてない」
---------僕を見るな。
「かわいいね」
------その目で見るな。
「君の料理が食べたくなるんだ」
------------そんなふうに
「・・・好きだよ」
------僕を見るんじゃない。
あちこちフラフラして、不意に訪ねて、その目で見られる前に逃げる。
あぁもう。何でこんな。どうしたらいいんだ。