白い扉。
それは細く長く聳え立つ。
闇の中に、ただぽつんと立っている。
それを開けなければ、何処にも行けない。
それを開けても、その先に世界は見えない。
ただの扉。
ただのドア。
彼は、とても簡単にその扉を開けて行った。
ポケットに手をつっこんだまま、ただ当然に
まるで扉などないかのように、簡単に開けて行ってしまった。
微笑みを浮かべ、何もかもをその瞳に映して
彼は何処までも扉を開けつづけ、最後の扉は開けずに消えた。
彼は、ちゃんと両手をあてて、ゆっくりと力を入れて扉を開けた。
真っ直ぐにドアの向こうを見て、しっかりとその扉を開けた。
扉の向こうにはやはりまた扉があり、それはいくつも続いて行くけれど
彼はそれを開けつづけた。
痛むけれどしっかりと足をはり、両手を使って。
彼は扉の前で佇むばかりで、手をかけることすらしないでいる。
扉の向こうがわからないから、恐くて恐くて開けられない。
扉の重さを、それを開ける苦しさを
例えこの扉を開けても、その向こうにはまた新たな扉があることを
彼は知っているから、俯いて其処にただ立ち尽くしている。
彼女は体ごと、ぶち当たらんばかりに扉を開ける。
次々と、次々と。
ぶつかってぶつかって、扉を開けて開けて、
その向こうにはもう何も無いことを願って。
やがて彼女は力尽きて、扉の前で崩れ落ちた。
彼女は、まるで窓でも開くかのように、
軽やかに扉を開けて行った。
その向こうにはまた扉があって、いくつもの扉があって、
無限に続くことを当たり前のように簡単に。
そして滑らかに去って行った。
白い扉。
暗い闇の中に、ただぽつんと立っている。
それを開けなければ、何処にも行けない。
それを開けても、何処に着くのかわからない。
ただの扉。
ただのドア。