銀の三日月
銀の三日月
ゆうらりゆぅらり
居眠りしてる
ゆうらりゆぅらり
銀の三日月
夢の中で歌を聴く
優しい優しい歌を聴く
やわらかぁくて優しくて
丸いまぁるい音が
月を揺らす
ゆっくり揺らす
目覚めた月は下界を眺める
音の源を見つけようと
細い身を乗り出す
細い細い身を
とすん!
月が目を見開いた時には
すでにそこは天上ではなく
目の前には
同じように見開かれた瞳があった
慌てた月にできることなどなくて
ただ呆然と
目の前の少年を
黒曜の少年を見る
銀の三日月は
少年の腕にすっぽりと収まった
まるであつらえたかの様に
彼の為に作られたかの様に
すっぽり収まる銀の弓
少年は微笑んで弦を張る
銀の弓に良く似合う
綺麗な綺麗な弦を
しゃらんと弦を鳴らしてみる
しゃらん、しりん、と銀の音
しりんと弦を鳴らしてみる
微かに遠くへ響いていく
細い細い銀の三日月
地上に落ちて囚われて
それでも、それでも何もせず
ただ黙って音を鳴らした
夜毎夜毎に響く音が
人の夜を鎮めていく
どんなに悲しい夢だとしても
どんなに悲しい夢だとしても
けれどもやっぱり月は月
月は満ちては欠けるもの
移り気な恋と呼ばれるほどに
変わり続けていくものだから
だから
銀の弓から生まれる音が
すこぉし変わってきているから
少年は弓から
弦を、外した
深い井戸の底から汲んだ
綺麗な綺麗な清水に浸して
きれいにきれいに洗い清める
銀の弓を銀色に
月は地上に囚われて
でも本当はそうじゃなくて
ずっと彼の腕の中で
音を奏でていたかった
腕は月を空へと放す
夜が過ぎまた月は細る
聞こえる音に囚われて
月は夢見る
彼の腕を