「ああ、かわいそうに。
君の魂は汚されてしまったね」
微笑みにも近い顔をして、白い少年が告げた。
見上げた少女の瞳から静かに涙が盛り上がり、頬を伝う。
手と長い髪で顔を隠して泣き続ける。
少年は何も言わずにそれを眺めていた。
少女は泣いて泣いて泣いて。
呼吸が苦しくなり、しゃくりあげながら、それでもまだ涙は出る。
泣き止むことがないようにも見える。
「嬉しいの…?」
小さい問いかけに一瞬動きの止まった少女は、そのまましばらくの時間を硬直し、
こくり、と幽かに肯いた。
「そう」
微笑んで少年は歌うように告げた。
「君の悲しみは、その”汚れ”が原因だ。君のせいじゃない。君が悪いわけじゃない。
そしてその汚れは落すことができる。僕と共にくれば」
少女は涙を流したままで少年を見ていた。
彼女の口は動かない。
「本当だよ。
さあ、この手を取るだけでいい」
恭しく差し出された手。
白くて綺麗な長い指。
そのまま止め絵のように数瞬。
ゆっくりと、少女は手を伸ばす。
ダンスの申し込みを受ける淑女のような所作で。
白い手の上に、自分の手を重ねようと。
パン!
白い少年に飛び散る赤い点。
少年の手を中心に円を描いてその点は広がっている。
手の上には光。
目を射るほどではない、揺らめく柔らかい光がそこにあった。
少年はしばらくその光を眺めると、ゆっくりと口の端を上げる。
そして大きな口を開け
ぱくり、こくん。
少年は満足そうに笑うと、その場を去っていった。