すべてを投げ出して、助けてほしいと訴えている。
「身も世もなく」なんて、昔の人は良く言ったものだ。
気持ちよさそうで。でも辛そうで。とても苦しそうで。
荒い呼吸、定まらない視線。言葉にならない音。意思が見えない手。泣いているわけじゃない涙。閉じられない口。何処も彼処も濡れた体。
それらを見ていると、もっとナかせたい気分になることがある。
そんなことをしたいわけじゃないのに、表情に引かれてついいじめてしまう、そんな。
僕の前で、こんなにも無防備に何もかもをさらけ出してくれてることが嬉しい。
そしてそんな彼を思いっきり傷つけることもできるだろうことが嬉しい。
そんな昏い喜びも確かにあって。
今なら殺せるだろうな、なんてことを、思ったこともある。
首を絞めてもたぶん抵抗できないだろうし。そうじゃなくてただ責めたててヤり殺すことだってできそうで。
自分だって気持ち良くてそれだけを追っているはずなのに、どこかでそんな不穏なことを考えることは可能で。
でも彼にはそんな余裕はなさそうで。
立場の違い、なんだろうか。性格の違い、なんだろうか。
追い上げて追い上げて、震えて痙攣しておかしくなっていく体を自分の下に閉じ込めて。
体が感じる悦楽以上に、頭が感じているものも強い。
気持ちいい。
彼とこんなに気持ちの良いことができることが嬉しい。
彼を抱くことのできる自分が嬉しい。
何もかもが嬉しくて、息もできないくらいに舌を絡める。
表情、歪む視界、涙、声、引きつる足、唾液、息、水音、ぬめる肌、縋る指、汗、熱、腕、肌の下の肉も。
すべてを僕のものに。
すべてを僕のものに。