こんな日は。

ついてないなって言うか、なんだかすごくいろんな事が起きて、妙に疲れる日っていうのがある。
朝、信号に引っかかって遅刻しそうになったのから始まって、いつもはあんまり出ない検査がいっぱい出て、余裕もない状態でそれをこなしていたら、どうでも良いような問い合わせの電話が掛かってくる。
こっちの余裕がないから応対もつっけんどんになってしまって、だから向こうもちょっとムッとした声になる。
”あーもー! こっちだって大変なんだよっ”
って思っても、それはやっぱり言えないこと。

そうして一息ついたかなって思っていたら救急車の音がして、誰だろうなんて思っていたらお気に入りの患者さんが容態急変していたりする。

ホッとできる時間はある。食事だってちゃんと取れる。慌ててかき込んでってほど忙しいわけじゃない。
珈琲を入れて一服だってできたけど。
それでも。

1日が終わって片付けが済んだ頃にはなんだかもう、泣きたいみたいな気分になってしまっていた。

こんな日は。

さっさと帰ってカヲル君とお風呂に入ろう。
明日は休みだからHしてもいいかな。カヲル君もその気になってくれるなら。
あぁでもそうだな、たまには僕から誘ってみようか。どうしたらいいのかイマイチわかんないけど。
ストレートに「したい」って言う方がいいかなぁ。

ほとんど毎日お風呂は一緒に入っているけれど、いつもそういう雰囲気になるわけじゃない。ちょっとじゃれて洗いっこして温まってそのままベッドにダイブして寝る。そういう日のほうが断然多い。
さすがに次の日が休みじゃないと、とてもじゃないけど体が持たないし。

疲れてたけど、ほんと、もうだるだるぅぅってくらい疲れてるけど。
帰ったらカヲル君がいるって思ったら笑うことができる。

「お帰り」って言ってくれる人がいて。「ただいま」って帰ってきてくれる人がいて。
一緒に何かしながら、今日あった事を口にする。
嫌なことがあったって、それを全部吐き出してしまえればぐっすり眠れる。
楽しいことはもっと楽しくなる。
時々はぎゅーってしてもらって、もっと時々は僕がそうして、甘えるカヲル君にキスしたりして。

一人じゃないから。
だから。

こんな日はさっさと帰ってカヲル君の顔を見よう。触れて話して抱き合って。
カヲル君の笑顔を見よう。

そして手を繋いで眠るんだ。

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